事務所ブログ

2015.09.24更新

 そもそも,「法人」というのは,自然人(=生身の人間)意外で,法律上「人」とされるものをいいます。
 近代的な民事法の制度の許では,法律上権利義務の主体となり得るのは,「人間」だけであり,また,人間である以上,差別されることなく等しく権利義務の主体となるという大原則に立脚しております。我が民法3条1項は,「私権の享有は,出生に始まる」として,このことを原理によることをを明らかにしております。
 しかしながら,自然人以外の組織・団体が,物を所有したり,取引の主体となったりすることを認めなければ,社会は成り立ちませんから,法律上,自然人以外の人の集団や財産の集合体のうち,一定の要件を満たすものを法律上「人」と同様に扱い,権利義務の主体となる人格を認めたものを「法人」といいます。そのうち,社団法人は人の集まりに人格を認めたものであり,財団法人は財産の集合体に人格を認めたものです。
 身近なものとして,株式会社などの会社は,営利目的の社団法人に他なりません。ここに,営利目的とは,利益をその社団の構成員(株主=社員)に分配することを目的としているということです。となりますと,構成員というものが存在しない財産の集合体である財団法人の場合には,営利目的というものが成立し得ないということになります。
 これに対し,一般社団法人・財団法人というのは,営利目的ではない社団法人・財団法人であり(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律11条2項,152条3項の2参照),そのうち,公益目的認定を受けたものが,公益社団法人・財団法人とされます。
 どの様な人の集団・財産の集合体が法人とされるかというと,まず,人の集団(社団)の場合,団体としての組織をそなえ,多数決の原理が行われ,構成員の変動にもかかわらず団体そのものが存続し,組織内に代表の方法,総会の運営,財産の管理等について法律の定めた要件を備え,登記されたものについて法人格が与えられるのです(準則主義)。具体的には,理事,理事会,監事及び社員総会等の機関により運営される人の集団ということになります。
 これに対し,財産の集合体(財団)の場合,一定の目的のもとに拠出された財産が存在し,その財産の管理について法律の定めた要件を備えたものについて法人格が与えられます。財産の集合体である財団法人の運営には,そもそも多数決のような意思決定方法を採用する必然性はないのですが,財団についても,我が法制上,社団に類似した理事,理事会,監事,評議員及び評議員会等の機関により運営されます。
 社団法人の場合は社員総会が,財団法人の場合は評議員が,法人の重要事項の決定し,理事(日常の業務を決定・執行する)等の役員を選任する権限の行使を通じて,法人を運営するのです。
 このようなガバナンスの構造は,取締役,取締役会,監査役及び株主総会等の典型的な機関構成により運営されている株式会社との類似性が認められます。
 しかしながら,株式会社は,1株1議決権による資本多数決制をとるのに対し(会社法308条),社団法人の社員も財団法人の評議員も1人1議決権とする点で決定的な違いがあります(但し,社団法人の場合には,定款で,社員の議決権についてこれと異なる定めをすることができます。一般社団法人及び一般財団法人に関する法律48条1項)。
 このことが何を意味するかというと,株式会社は,株主の中でより多くの株式を保有し会社の命運についてより重大な利害関係を有する者の意見が重んぜられるというシステムであるのに対し,社団法人・財団法人は,出資や財産の拠出の有無やその多寡にかかわらず,社員・評議員として平等に扱われるというシステムであるということです。
 ということは,裏を返せば,社団法人・財団法人は,無責任な(場合によっては悪意のある)社員や評議員による情実や利害をからめた多数派工作により,適正な運営を阻害されたり,出資者や寄付者等の法人の設立を主導しその運営の中心となるべき人たちが排除されたり,本来の設立目的を逸脱した運営がなされたり,果ては法人自体が不届きな輩に乗っ取られたりする可能性が非常に高いということを意味します。
 本来,社団法人・財団法人は,非営利或いは公益目的の達成を目的としているからこそ,社員総会及び評議員会により理事の公私混同や不正を監視・監督するというシステムを導入しているのでしょうが,逆にいえば,重要事項の決定や理事等の役員の選任について,多額の出資をした社員や多額の財産を拠出した設立者も,これらの経済的な負担を負担を全くしていない単なる人数合わせのためやメンツを立てるために生人した社員や評議員が,理事等の重要事項の決定や役員の選任等に関して,全く平等な権利を有するとすることにより,却ってその安定性や永続性,更には,健全性が害されるという皮肉な現実が,その病理として存するという問題があります。
 このような,社団法人・財団法人の内部的な紛争の発生の予防には,社員や評議員の人選もさることながら,特に設立手続時に「性悪説」に社立って定款による縛りや機関設計のディテールを検討しておく必要があります。

投稿者: 三堀法律事務所