事務所ブログ

2017.05.16更新

今後ともよろしくお願い致します。

投稿者: 三堀法律事務所

2015.10.30更新

 安全保障関連法制の審議が長引き,IR関連法案はなかなか日の目を見ず,いつになったら,カジノ解禁がなされるのか,先が見えない状況ですが,IR実施法案すなわち「特定複合観光施設整備法案(仮称)~IR実施法案~に関する基本的な考え方」に示された規制の方向性と,既存のパチンコホールに対する規制の違いを確認してみたいと思います。
 このことは,とりもなおさず,カジノとパチンコとのそれぞれの本質,共通点と大きな相違点を浮き彫りにすることになり,更には,パチンコホールとは,カジノとの比較においてどうあるべきか,を問いかけて来ます。

カジノに対する規制 パチンコ日する規制
1.カジノを含むIRの実現,実施に関する 
 基本的な考え方
 
 IRは,観光振興,地域振興に関する成長戦略のツールである。  このような公益性は期待されていない。
 カジノ・エンターティメントを,適切にかんりすることにより健全,安心,安全な成人の娯楽の場を提供する。  善良の風俗と正常な風俗環境を保持し及び青少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する(法1条)。
 IRの設置総数,設置区域は限定し,慎重かつ段階的な導入をはかる。
 全国津々浦々に設置すべき施設ではないことを前提とする。
 営業制限区域の定め(法4条2項2号)の定めがあるだけで,原則自由。

 
 地方公共団体の申請に基づき,国がIRの設置区域。地点を指定する。  同上。
 
 カジノの施行は明説民営を基本とし,区域指定を受けた地方公共団体が民間事業者を選定する。  地方公共団体による「選定」というプロセスはない。
 
 選定された事業者は,別途,国から免許を取得水津陽がある。  都道府県公安委員会から風俗営業の許可を受ける必要がある。
 規制と監視のための規制機関(カジノ管理委員会)を設ける。  公安委員会(実質は警察)の規制を受ける。
 国民の懸念を払拭し,国民の理解と支持を得られ制度構築を図る。  このような考え方はない。
 
2.IR実施補制定に向けての基本的な考え
 方
 
 観光振興と国・地方の活性化,財政への寄与を目的とする。  このような公益的な目的は想定されていない。
 特定ぐ久郷観光施設と特定複合観光施設区域の指定。
 カジノは,国から指定を受けた上記区域内のみ設置できる。
 営業制限地域の定め(法4条2項2号)があるだけで,原則自由。

 
 特定複合観光施設区域の数と指定のありかた。
 カジノ施行の安全性,安定性,健全性を担保し,設置される区域総数及び施設総数を限定する。
 同上。





 
 地方公共団体による民間事業者の選定。
 設置の条件に関する地方公共団体と民間事業者の協定は国の規制機関の認証を必要とする。
地方公共団体による「選定」,及び地方公共団体と業者との「協定」の締結というプロセスがない。
 
 国の規制機関としてのカノの管理委員会の役割。  公安委員会(実質は警察)の規制を受ける。
 国際基準と同等の書式,手続に基づき,カジノ管理委員会の背面調査,審査を受ける。  風俗営業の許可及び変更承認の際に一定の審査があるが,国際基準では二ローカルルールに基づくもの(法4条,9条1項,20条10項)。
 5%以上の有効議決権を有する所要株主,経営者,所要管理職,直接的間接的にゲームの運営に関与する職いっも同様の審査を受ける。  風俗営業者又は法人の役員及び管理者については,許可取得の際,一定の欠格事由の有無が審査されるが(法4条1項,24条2項),左記のような制度はない。
 
 欠格要件と的確要件を定義する。

 
 風俗営業者又は法人の役員及び管理者について欠格事由が定められているが(法4条1項,24条2項),的確要件の定めはない。
 違法行為等の場合には許可を取り消す。
 
 違法行為等の場合には,指示処分,営業の停止又は風俗営業の許可の取消しという処分が課される(法25条,26条1項)。
 査察官制度を設け,特別司法警察官としての権限を与える。
 
 公安員会による報告の聴取及び警察職員による立入りが認められている(法37条1項・2項)。
 施行に使用する関連機器合,システム,器具等の製造業者,施行にかかわるサービス提供事業者も免許の対象とする。  このような制度はない。



 
 施行に使用する機械,システム,器具等は,全て認証の対象とする。  遊技機について認定及び検定の正二があるだけである(法20条2項,4項)。
 運営に関するあらゆる行為は規制と認証の対象とする。  風俗営業者の遵守事項(法12条~26条)が定められているだけである。
 施行に伴う納付金等及びその使途。
 市況者勝分及び売り上げの一定率を国に納付する。
 このような制度はない。

 
 入場料を賦課できるものとする。  同上。
3.社会的関心事への対応  
 暴力団組織の介入や犯罪の温床になること等を断固,排除する。
 入場者全員の本人確認を義務付ける。
 このような制度はない。

 
 マネーロンダリング(資金清浄)を防止する。  同上。
 
 地域風俗環境悪化,公序良俗の乱れを防止する。



 
 まずは,遊技機の射幸性に関する性能を規制し(法4条4項,20条1項,9項),遊技料金・賞品の提供方法の規制(法19条,施行規則35条2項1号イ・2号,3項),遊技場経営者の禁止行為(法23条),広告宣伝規制(16条)により,射幸性を抑制することを通じて善良の風俗と清浄な風俗環境を保持すること等の目的達成を図っている。
 青少年への悪影響を防止する。
 
 同上。
 また,特に,年少者の立ち入らせを禁止している(法22条5号)。
 賭博依存症患者の増大を防止し,その対策のための期間を創設する。
 社会的セーフテイネットとして,公営賭博分野を含めた調査と実態の把握,伊zン小問題対応のための国の期間を創設する。その財源にはカジノからの脳スキン収益の一部を充てる。
 予防措置として,自己排除プログラム並びに家族強制排除プログラムの導入を積極的に検討する。
 このような制度はない。














 
 
   

投稿者: 三堀法律事務所

2015.09.24更新

 そもそも,「法人」というのは,自然人(=生身の人間)意外で,法律上「人」とされるものをいいます。
 近代的な民事法の制度の許では,法律上権利義務の主体となり得るのは,「人間」だけであり,また,人間である以上,差別されることなく等しく権利義務の主体となるという大原則に立脚しております。我が民法3条1項は,「私権の享有は,出生に始まる」として,このことを原理によることをを明らかにしております。
 しかしながら,自然人以外の組織・団体が,物を所有したり,取引の主体となったりすることを認めなければ,社会は成り立ちませんから,法律上,自然人以外の人の集団や財産の集合体のうち,一定の要件を満たすものを法律上「人」と同様に扱い,権利義務の主体となる人格を認めたものを「法人」といいます。そのうち,社団法人は人の集まりに人格を認めたものであり,財団法人は財産の集合体に人格を認めたものです。
 身近なものとして,株式会社などの会社は,営利目的の社団法人に他なりません。ここに,営利目的とは,利益をその社団の構成員(株主=社員)に分配することを目的としているということです。となりますと,構成員というものが存在しない財産の集合体である財団法人の場合には,営利目的というものが成立し得ないということになります。
 これに対し,一般社団法人・財団法人というのは,営利目的ではない社団法人・財団法人であり(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律11条2項,152条3項の2参照),そのうち,公益目的認定を受けたものが,公益社団法人・財団法人とされます。
 どの様な人の集団・財産の集合体が法人とされるかというと,まず,人の集団(社団)の場合,団体としての組織をそなえ,多数決の原理が行われ,構成員の変動にもかかわらず団体そのものが存続し,組織内に代表の方法,総会の運営,財産の管理等について法律の定めた要件を備え,登記されたものについて法人格が与えられるのです(準則主義)。具体的には,理事,理事会,監事及び社員総会等の機関により運営される人の集団ということになります。
 これに対し,財産の集合体(財団)の場合,一定の目的のもとに拠出された財産が存在し,その財産の管理について法律の定めた要件を備えたものについて法人格が与えられます。財産の集合体である財団法人の運営には,そもそも多数決のような意思決定方法を採用する必然性はないのですが,財団についても,我が法制上,社団に類似した理事,理事会,監事,評議員及び評議員会等の機関により運営されます。
 社団法人の場合は社員総会が,財団法人の場合は評議員が,法人の重要事項の決定し,理事(日常の業務を決定・執行する)等の役員を選任する権限の行使を通じて,法人を運営するのです。
 このようなガバナンスの構造は,取締役,取締役会,監査役及び株主総会等の典型的な機関構成により運営されている株式会社との類似性が認められます。
 しかしながら,株式会社は,1株1議決権による資本多数決制をとるのに対し(会社法308条),社団法人の社員も財団法人の評議員も1人1議決権とする点で決定的な違いがあります(但し,社団法人の場合には,定款で,社員の議決権についてこれと異なる定めをすることができます。一般社団法人及び一般財団法人に関する法律48条1項)。
 このことが何を意味するかというと,株式会社は,株主の中でより多くの株式を保有し会社の命運についてより重大な利害関係を有する者の意見が重んぜられるというシステムであるのに対し,社団法人・財団法人は,出資や財産の拠出の有無やその多寡にかかわらず,社員・評議員として平等に扱われるというシステムであるということです。
 ということは,裏を返せば,社団法人・財団法人は,無責任な(場合によっては悪意のある)社員や評議員による情実や利害をからめた多数派工作により,適正な運営を阻害されたり,出資者や寄付者等の法人の設立を主導しその運営の中心となるべき人たちが排除されたり,本来の設立目的を逸脱した運営がなされたり,果ては法人自体が不届きな輩に乗っ取られたりする可能性が非常に高いということを意味します。
 本来,社団法人・財団法人は,非営利或いは公益目的の達成を目的としているからこそ,社員総会及び評議員会により理事の公私混同や不正を監視・監督するというシステムを導入しているのでしょうが,逆にいえば,重要事項の決定や理事等の役員の選任について,多額の出資をした社員や多額の財産を拠出した設立者も,これらの経済的な負担を負担を全くしていない単なる人数合わせのためやメンツを立てるために生人した社員や評議員が,理事等の重要事項の決定や役員の選任等に関して,全く平等な権利を有するとすることにより,却ってその安定性や永続性,更には,健全性が害されるという皮肉な現実が,その病理として存するという問題があります。
 このような,社団法人・財団法人の内部的な紛争の発生の予防には,社員や評議員の人選もさることながら,特に設立手続時に「性悪説」に社立って定款による縛りや機関設計のディテールを検討しておく必要があります。

投稿者: 三堀法律事務所

2014.07.05更新

将来的に日本においてカジノ営業が開始されることはほぼ確実な情勢ですが、日本においてはどれくらいの売上規模になるのでしょうか。
法律家である私には、その予測をすることはできません。
しかし、そもそも、世界のカジノ業界全体の売上はどのようになっているのでしょうか。
世界的なコンサルティング会社であるプライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopers PwC)が2011(平成23)年12月に公表した"Global Gaming Outlook The casino and online gaming market to 2015({「2015年までのカジノ&オンラインカジノ市場」)"では、2010(平成22)年の全世界のカジノ市場の総売上は1175億7千9百万USドル(以下、ドルの表記は全てUSドル)ですが、2012(平成24)年には1466億8千万ドルになり、更に2015(平成27)年には1827億7300万ドル(対2010年比9.2%増)になるものと予測しています。
このうち、各地域の2011年の売上及び2015年の売上予測は以下のとおりです。
なお、カジノの売上とは、カジノ業者の取り分であるハウスエッジ(house edge)の累計額であり、これは、日本のパチンコホール業界における景品提供後(要するに換金額を除いた)総粗利に相当します。

           2010年        2015年

アメリカ合衆国  574億8千8百万ドル   733億2千万ドル

欧州、中東及び
アフリカ 163億7百万ドル     183億4千3百万ドル
 
アジア太平洋地域 342億8千万ドル     792億6千6百万ドル

ラテンアメリカ   38億9千6百万ドル    56億1千4百万ドル

カナダ       57億4百万ドル      62億3千万ドル

合計       1175億7千9百万ドル 1466億8千万ドル   

いささか古い資料ですがダイコク電機㈱が平成25(2013)年7月3日に公刊した「DK‐SIS白書2012」では、平成24(2012)年のホール業界の総売上は24.8兆円で対前年比0.2兆円増、総粗利は過去最低で前年比0.4兆円減の3.78兆円となったとしています。
ホール業界の粗利とは、貸玉料金の累計額である総売上から賞品として提供された客への還元分すなわち換金分のコストを差し引いた残額です。


この日本のホール業界の総粗利は、「DK‐SIS白書2012」のデータによれば大まかに1ドル100円というレートで計算すると378億ドルとなり、世界のカジノ業界の2015年における総売上予予測の21%、アジア太平洋地域のカジノ業界の同じく売上予測の48%に匹敵する巨大な市場規模であるということになります。
 ということは、来るべきカジノの合法化により、日本において営業を開始するカジノ業者の営業戦略は、世界中から富裕層を呼び込むことに加え、現に換金目的でホールに通うパチンコファンを営業の下支えをしてくれる顧客層として取り込むことになるのは寧ろ必然でしょう。

 ところで、カジノ業者がパチンコファンを自らの客に取り込もうという営業戦略の成否を占うに当たり、カジノ業者とホール業者との競争力を比較することは可能でしょうか。
 まず、カジノが金銭を直接賭ける賭博であり、ホールが賞品としての物品が提供されるだけというのであれば、それだけでカジノに相当なアドバンテージがあることは明らかです。
次に、両者とも「勝負ごと」=ゲームを提供するという共通点に着目すると、客の目線からは、どちらが勝ち易いのか、ホールに引き寄せていえば、「出玉感」の良し悪しが競争力の差異になって現れる面があると思合われます。
異論はあるとは思いますが、この「出玉感」の良し悪しが、業者側の還元率によって客観的に裏付けられるとすれば、還元率を高めれば必然的に減少して行くという関係にある粗利率の少ない方が、競争力があるということになります。
ここで、カジノ業者のハウスエッジはテーブルゲームでは、バカラが1.19%から1.34%、ヨーロピアンルーレットが2.7%、アメリカンルーレットが5.26%で、マシンゲーム=スロット等では、ミニマム1ドルでは例えば5%、同25セントでは例えば20%に設定されるとのことです(大川潤・佐伯英隆「カジノの文化史」26~31頁)。
これに対して、日本のホール業界の粗利率は、「DK‐SIS白書2012」のデータから逆算すると貸玉料金の約15%です。
パチンコはマシンゲームですが、ミニマム25セントのスロットよりは粗利率が低く客への還元率が高いのですが、ミニマム1ドルのスロットよりは粗利率が3倍も高く、その分還元率は低くなります。
しかるに、パチンコファンのうち、ミニマム25セントレベルのスロット等のマシンゲームには満足しない層にとっては、ホールは還元率の点で完全にカジノに水をあけられており、その限りで競争力がないということになります。

投稿者: 三堀法律事務所

2014.07.02更新

 最近はやりのオンラインゲームの中には、単なるゲームではなく、バーチャル通貨を用いて行われるオンラインカジノも大分普及しているようです。
 オンラインカジノとは、基本的には、ギャンブルが認められている国でライセンスを取得したカジノ業者が、その国にサーバーを設置してバーチャル通貨を賭けるゲームを提供する、という建前のようです。
 このオンラインカジノは、ネットで接続されている限り、どの国からでも参加できるのですが、賭けの対象となるバーチャル通貨が現金に換えられる点で、カジノや賭博が禁止されている国から参加することに違法性はないのでしょうか。
 まず、日本の刑法の賭博罪(同法185条)は、日本国外で行った賭博行為(国外犯)には適用されませんから(刑法2条、3条)、国外で賭博を行っても日本の刑法では罰せられることはありません。
 しかし、オンラインカジノで、日本国内から国外のサーバーに接続した場合、それがサーバーの設置されている国外で行われた賭博行為で違法ではないといえるのか、又は、プレイヤーの端末の接続された日本で行われた賭博行為として違法となるのかについての判例がありません。この点についての学説は分かれていますが、違法な賭博行為となるとするものが圧倒的多数のようです。私見もオンラインカジノは違法とせざるを得ないと判断しおります。
 世界的なコンサルティング会社であるプライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopers PwC)が2010(平成22)年12月に公表した"Playing to win  The outlook for the global casino and online gaming market to 2014({「2014年までのカジノ&オンラインカジノ市場の展望」)"では、「日本ではオンラインゲーミング(賭博)が法律で禁じられ、また日本人によるオンラインカジノが存在しないという事実があるにもかかわらず、日本は、1000万人以上がオンラインカジノで勝負している、世界で最も大きなオンラインゲーミング市場の一つとみられる」としています。
 1000万人もの人々が違法なオンラインカジノで賭博行為に興じているということは、由々しき事態であるといわなければなりません。
 将来的には、立法によって国内からアクセスするオンラインカジノが違法であることを明文化して取締りを強化しない限り、オンラインカジノは、パチンコ及び新たに合法化されるカジノ双方の客層を喰ってしまうことになるでしょう。

投稿者: 三堀法律事務所

2014.01.24更新

去る平成25年12月5日に国会に提出された、カジノ推進法(IR推進法)の法案は、正式には、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」といいます。なお、特定複合観光施設(IR施設)は、英語のIntegrated Resort(統合型リゾート)を略した、IRと呼ばれています。
この法案は、平成26年1月24日から開催された第186回通常国会で衆参両院で可決されれば正式に法律となりますが、その内容は、大まかにいうと、カジノ施設を擁する「特定複合観光施設」(IR)の設置が許される「特定複合観光施設区域」(IR区域)の認定、整備やIRの設置・運営に関する基本方針やスケジュール等が定めているだけであり、全23条という比較的短いものです。

ところで、IR推進法の法案の構成は、
第1章 総則
第2章 特定複合観光施設区域の整備の推進に関し基本となる事項
第3章 特定複合観光施設区域整備推進本部
という3章立てですが、第1章の「総則」で注目すべきは、そもそもIRとは何なのかということを明らかにする定義規定(2条)です。
そして、同条1項では、IRすなわち「特定複合観光施設」を「カジノ施設(別に法律で定めるところにより第11条のカジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう」と定義しています。
これは、カジノ施設を不可欠の要素とするIRは、いわゆる民設民営ということです。
この規定からは、施行者が地方公共団体なのかどうなのかがはっきりしませんが、しかし、公営ギャンブルでも民設民営のものがあり、IRのカジノ施設の施行者は地方公共団体となるものと予想されます。なお、民設民営の公営ギャンブルとしては、西武園競輪場が、施行者は埼玉県、施設の設置・所有者は西武鉄道㈱、競技の運営者(運営受託者)は日本トーター㈱であり、住之江競艇場が、施行者は大阪府都市競艇組合、施設の開設・所有者は南海電気鉄道㈱、競技の運営者は住之江興業㈱であるという例があります。これらは、施設は民間業者が設置し所有しており、運営も民間業者に委託されておりますが、施行者は地方公共団体である点で「公営」なのです。
また、国、地方公共団体そして民間業者との関係と役割分担は、地方公共団体はIR区域の認定を国に申請すること及びIRを設置・運営する民間業者を選定すること、国は地方公共団体の申請を受けてIR区域の認定をすること及び地方公共団体が選定した民間業者によるカジノ施設を含むIRの設置・運営を監督すること、民間事業者は自己の出資とリスク負担の下にIRを設置・運営することです(2条2項、3条)。
最後に、政府はIR区域整備の推進に必要な措置を講じ、IR推進法施行後1年を目途に法制上の措置を講ずることされています(5条)。

次に、法案の第2章の「特定複合観光施設区域の整備の推進に関し基本となる事項」は、
第1節 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本方針
第2節 カジノ管理委員会の基本的な性格及び任務
第3節 納付金等
という3節の構成です。
第1節の「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本方針」では、先に述べた国、地方公共団体そして民間業者がそれぞれ分担する役割を果たして行く上での基本的な事項を定めております。
この中で、民間業者である「カジノ施設関係者」(カジノ施設を設置・運営する業者の他、関連サービスを提供する業者も含む)が、内閣府の外局として設置される「カジノ監理委員会」の規制に従わなければならないことや(9条)、政府は、以下に関する事項、すなわち、
① ゲームの公正性の確保
② カジノ施設で用いられるチップ等の適正な利用項
③ 暴力団員等の排除
④ カジノ施設の設置・運営業者による監視及び防犯対策
⑤ 風俗環境の保持等のための規制
⑥ 広告・宣伝の規制
⑦ 青少年保護及び青少年の健全育成
⑧ 客のカジノ施設利用による悪影響の防止
について必要な措置を講ずることとされています(10条)。
カジノ施設で行われるのは賭博行為に他なりませんから、そこで行われるゲームは公正でなければならず、イカサマは徹底的に排除されてなければなりませんし、反社会的勢力の排除や犯罪の予防、周辺の風俗環境への配慮は当然のことですが、特に、政府に客のカジノ施設利用による悪影響を防止する措置を講ずることを義務づける点は注目に値します。これは要するに、賭博で全財産をスッてしまったり、借金を重ねてしまうような経済的破綻やのめり込み(依存)という弊害を防止する対策を講じろということです。
このような方向性は、公営ギャンブルやパチンコの所轄官庁において大いに参考にすべきでしょう。
第2節の「カジノ管理委員会の基本的な性格及び任務」では、内閣府の外局として「カジノ監理委員会」を設置し、規制に当たるとされております(11条)。
この委員会には、カジノ施設の健全性を確保する規制にあたるべく、警察庁始め、各省庁から精鋭が集められることでしょう。
第3節の「納付金等」は、国及び地方公共団体は、カジノ施設を設置・運営する民間業者から納付金を徴収できること(12条)、及び、入場者からも入場料を徴収できること(13条)を定めています。
IRにカジノ施設が存する事が、「財政の改善に資する」所以です。

第3章の「特定複合観光施設区域整備推進本部」では、IR区域の整備の推進を「総合的かつ集中的に行うため」、内閣に、見出しとなっている「特定複合観光施設区域整備推進本部」(本部)を置くこと(14条)、及び、その組織や権能の概要を定めています(15条~20条)。また、本部には、「特定複合観光施設区域整備推進会議」(推進会議」)という諮問機関を置くこと等も定められています(21条~22条)。

以上がIR推進法の概要ですが、基本的事項やスケジュールが定められているだけであり、具体的な内容についてはほとんど触れられていません。この点については、特定複合観光施設区域のIR推進法案の国会提出に先立つ平成25年11月12日に開催されたIR議連の第21回総会において「特定複合観光施設区域整備法案(仮称)~IR実施法案~に関する基本的な考え方(案)」が示されており、この「考え方」の内容を探る必要があります。

投稿者: 三堀法律事務所

2014.01.20更新

 去る平成25年12月5日、国会に提出された「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(IR推進法案)は、カジノを含む不可欠の要素とする統合型リゾート施設(IR施設)の設置が許される区域の整備の基本方針とスケジュール等を定めるに留まります。
 ですから、IR施設や同区域整備の具体的な「中身」は、「特定複合観光施設区域整備法」(IR実施法)の成立を待たねばなりません。
 ところで、IR推進法案の国会提出に先立つ平成25年11月12日に開催されたIR議連の第21回総会において「特定複合観光施設区域整備法案(仮称)~IR実施法案~に関する基本的な考え方(案)」が示されており、この「考え方」の内容から、IR実施法の法案の概要を窺い知ることができます。
 どのような地域がIR施設区域に指定され、カジノが設置されるのかということは大いに関心を引くところなのですが、しかし、立地については、IR推進法で、各自治体からのIR施設区域の認定申請を受けて、国がこれを認定するというシステムを定めているため、「IR実施法に関する基本的な考え方」でも、具体的な言及はありません。
 マスコミ報道では、IRすなわちカジノ施設が設置される候補地として、東京都(港区お台場・江東区青海等の臨海部)、大阪府(大阪市の夢洲)及び沖縄県(宮城島等)が取り沙汰されており、つい先日、神奈川県横浜市がカジノの候補地として名乗りを上げ他との報道もありました。
 この点に関連して「IR実施法案に関する基本的な考え方」では、「カジノを含むIRは、全国津々浦々に設置すべき施設ではない。わが国におけるその施設総数・設置区域を明確に限定し、かつ、その着実な施行を確認して、段階的に設置することを基本とする...」としております。
 カジノの「着実な施行」があれば、他の多くの自治体からIR区域の指定申請がなされ、「段階的に」増えて行くことが予想されております。一部の専門家の間では、先に挙げた東京、大阪そして沖縄を始め、最終的には合計20か所ほどのIRすなわちカジノが設置されるといわれており、全国的に身近な場所にできるのではないか、と考えられます。

投稿者: 三堀法律事務所

2014.01.17更新

去る平成25年12月5日、国会に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」が提出されました。 この法案は、英語のIntegrated Resort(「統合型リゾート」)の略から、IR推進法案とも呼ばれています。
この法案は、「特定複合観光施設」を「カジノ施設(略)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示場施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするもの」と定義づけ(同法案2条1項)、また、「特定複合観光施設区域」を「特定複合観光施設を設置できる区域として、別に法律で定めるところにより地方公共団体の申請に基づき国の認定を受けた施設」と定義付け(同法案2条2項)、「観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資する」特定複合観光施設区域の整備の基本理念及び基本方針を定め、「特定複合関東施設区域整備推進本部」を設置して、これを総合的かつ集中的に行うことを目的とするものです(同法案1条)。
要するに、IR推進法案とは、カジノを不可欠の要素とする統合型リゾート施設を設置することができる区域の整備の基本方針とスケジュール等を定めものです。
ですから、IR施設や同区域整備の具体的な「中身」は、「特定複合観光施設区域整備法」すなわちIR実施法の成立を待たねばなりませんが、しかしIR推進法案は施行後1年以内を目途として「特定複合観光施設区域の整備の推進」に「必要となる法制上の措置」を講じることとしており(同法案5条)、次年度中にはIR実施法も制定され、そして、日本最初のカジノは、次の東京オリンピックが開催される(平成32(2020)年)ころには、開業していることでしょう。

投稿者: 三堀法律事務所

2013.03.12更新

 法律事務所はお役所や工場のように、そこで働く弁護士の勤務時間を管理していない場合が多いと思いますが、弁護士の職務自体が「手仕事」であるため、時間の配分が各自の裁量に任されており、弁護士は決められた時間に昼休みを取り、定時に退勤できるという仕事ではありません。
 ですから、弁護士の中には毎日、日付の変わるまで仕事をしているような人もいれば、午前11時に出てきて午後4時には帰宅してしまう人もいます。
 私(三堀)は、朝は早いのですが、夜はそれほど遅くまでは仕事をする方ではありません。昼食は、「早い」「安い」が基準で、蕎麦かうどんをすする等ごく軽く、短時間で済ませてしまいますが、これは、遅くまで残業をしないためでもあります。
 また、午前5時には起床しているので、夜のお付き合いをしても、そこそこの時間で切り上げて帰宅してしまいます。職場から自宅まで30分もかかりませんので、10時半を過ぎて就寝るすということはまずありません。
 こんな生活なので、「おまえは何が面白くて生きているのだ」といわれたこともありますが、実は夜の巷に繰り出すのは嫌いな方ではないのです。何かにつけて、一人で外で晩酌をしてから帰ったり、一パイやりながら仕事の打ち合わせの続きをやることも稀ではありません。
 今後、私が「昼休み」と「放課後」に出没する一帯、すなわち、新橋、銀座、有楽町、丸の内、八重洲、日本橋、赤坂界隈のお店を少しずつ紹介したいと思います。

投稿者: 三堀法律事務所

2013.03.11更新

 前回から間が空いてしまいましたが、企業の内紛についての第二弾です。
 企業の内紛とは典型的には、中小規模の閉鎖会社の株主間で会社の支配権を争う場合が典型ですが、第三者による会社乗っ取りの場合も同様に考えることができます。
 
 
 
 
 
 既に述べたことですが、企業の内紛は、最終的には株式会社の持ち株比率の大きい方に収斂する、即ち、持ち株比率がどれだけあるかで、その帰趨が決します。要するに、持ち株数が多い方が勝つに決まっているのです。
 このように持ち株数の多寡が決定的に意味を持つのであれば、多数派を抑えられない者は、多勢に無勢の無謀な争いを挑む愚を犯すはずはない、と考えられるかもしれませんが、一筋縄ではいかないのが人の世の常です。
 なぜかというと、巷間、いろいろな要因で株主が誰であるかが必ずしも明らかでない、或いは、一部の株式の帰属がはっきりしないという会社は決して少なくなくないからです。そして、このような会社で内紛が発生した場合、まず第一に誰が何株の株式を保有しているのか、ということが争点となる場合も多いのです。
 例えば、確か平成2年の商法改正までは、会社の設立には発起設立には複数の発起人が必要で、募集設立にはこれにプラスして1名以上の株式引受人がいなければなりませんでしたから、これらのメンツをそろえるために、名義だけの株主になってもらうということがよくありました。そのような状況が何十年も放置され、また、代替わり等があると、実際の出資者である真実の株主から、名義株やその相続人に対して、「あなたたちは、単なる名義株主に過ぎず、株主としての実質的な権利は何もありません」といったところで、このことを立証する手段がないという事態も往々にしてあります。
 また、私(三堀)が実際に担当した事件では、会社の設立当時の実績のない時期に無担保で返済期限も定めずに資本金に倍する多額の貸付をしてくれたことを恩義を感じた社長が、会社の経営が軌道に乗ってから、年2回、配当金の形式で返済を続けていたところ、十数年後に、貸主の側から「会社設立後に多額の貸付けをした後に自分を株主と扱うようになったのは、創業者である社長が全株式を自分に担保のために譲渡したものであり、現在は自分こそがが全株式を有する唯一の株主である」と主張して、会社を乗っ取ろうと企てるに至ったという事例もありました。
 このように、企業の内紛では、普通であれば誰も疑問に持たない株主構成が争点となるのです。
 以上のように、企業の内紛は、持ち株比率によって帰趨が決するが、そのために、持ち株数自体が争点になるということが言えます。
 しかし、いったん企業で内紛が発生すると、紛争当事者~多くの場合は親子兄弟等の身内であったり、共に苦労を分かち合った同僚であったりする~相互の不信感は凄まじいレベルに達してしまいますから、将来的に一切を水に流して仲直りをし、再び一緒に会社を盛り立てて行こうということはあり得なくなってしまいます。となると、いずれか一方の当事者が他方の当事者の持ち株を相当な価額で買い取るか、会社を分社化して一部の事業部門を他方の当事者に譲り渡すという、いわば袂を分かつという形でしか解決の方法はありません。
 しかしながら、現在の会社法の用意した手続には、会社の内紛が生じた場合、一方当事者から他方当事者に対して株式の買取りを求めたり、事業の分割を求めるという制度が用意されておりません。
 このために、弁護士は苦労して、このような、株式の買取りや事業の分割という解決方法を実現するには非本質的とはいえない手段~株主総会決議無効・不存在確認、取締役の地位不存在確認、株主たる地位の存在・不存在確認、役員解任、会社解散請求等~や、保全処分~取締役の職務執行停止・職務代行者選任、株主権行使禁止等~を次々と繰り出し、その手続きの中で、裁判所上の和解として、株式の買取りや事業の分割の話し合いに持って行かざるを得ないのです。
 個人的には、閉鎖会社の内紛解決手段として、会社法に株式買取請求や事業(会社)分割請求を求める訴訟手続を定めるべきとは思いますが、技術的な難点も多々あるようで実現への途は遠そうです。

投稿者: 三堀法律事務所

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