事務所ブログ

2014.01.24更新

去る平成25年12月5日に国会に提出された、カジノ推進法(IR推進法)の法案は、正式には、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」といいます。なお、特定複合観光施設(IR施設)は、英語のIntegrated Resort(統合型リゾート)を略した、IRと呼ばれています。
この法案は、平成26年1月24日から開催された第186回通常国会で衆参両院で可決されれば正式に法律となりますが、その内容は、大まかにいうと、カジノ施設を擁する「特定複合観光施設」(IR)の設置が許される「特定複合観光施設区域」(IR区域)の認定、整備やIRの設置・運営に関する基本方針やスケジュール等が定めているだけであり、全23条という比較的短いものです。

ところで、IR推進法の法案の構成は、
第1章 総則
第2章 特定複合観光施設区域の整備の推進に関し基本となる事項
第3章 特定複合観光施設区域整備推進本部
という3章立てですが、第1章の「総則」で注目すべきは、そもそもIRとは何なのかということを明らかにする定義規定(2条)です。
そして、同条1項では、IRすなわち「特定複合観光施設」を「カジノ施設(別に法律で定めるところにより第11条のカジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう」と定義しています。
これは、カジノ施設を不可欠の要素とするIRは、いわゆる民設民営ということです。
この規定からは、施行者が地方公共団体なのかどうなのかがはっきりしませんが、しかし、公営ギャンブルでも民設民営のものがあり、IRのカジノ施設の施行者は地方公共団体となるものと予想されます。なお、民設民営の公営ギャンブルとしては、西武園競輪場が、施行者は埼玉県、施設の設置・所有者は西武鉄道㈱、競技の運営者(運営受託者)は日本トーター㈱であり、住之江競艇場が、施行者は大阪府都市競艇組合、施設の開設・所有者は南海電気鉄道㈱、競技の運営者は住之江興業㈱であるという例があります。これらは、施設は民間業者が設置し所有しており、運営も民間業者に委託されておりますが、施行者は地方公共団体である点で「公営」なのです。
また、国、地方公共団体そして民間業者との関係と役割分担は、地方公共団体はIR区域の認定を国に申請すること及びIRを設置・運営する民間業者を選定すること、国は地方公共団体の申請を受けてIR区域の認定をすること及び地方公共団体が選定した民間業者によるカジノ施設を含むIRの設置・運営を監督すること、民間事業者は自己の出資とリスク負担の下にIRを設置・運営することです(2条2項、3条)。
最後に、政府はIR区域整備の推進に必要な措置を講じ、IR推進法施行後1年を目途に法制上の措置を講ずることされています(5条)。

次に、法案の第2章の「特定複合観光施設区域の整備の推進に関し基本となる事項」は、
第1節 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本方針
第2節 カジノ管理委員会の基本的な性格及び任務
第3節 納付金等
という3節の構成です。
第1節の「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本方針」では、先に述べた国、地方公共団体そして民間業者がそれぞれ分担する役割を果たして行く上での基本的な事項を定めております。
この中で、民間業者である「カジノ施設関係者」(カジノ施設を設置・運営する業者の他、関連サービスを提供する業者も含む)が、内閣府の外局として設置される「カジノ監理委員会」の規制に従わなければならないことや(9条)、政府は、以下に関する事項、すなわち、
① ゲームの公正性の確保
② カジノ施設で用いられるチップ等の適正な利用項
③ 暴力団員等の排除
④ カジノ施設の設置・運営業者による監視及び防犯対策
⑤ 風俗環境の保持等のための規制
⑥ 広告・宣伝の規制
⑦ 青少年保護及び青少年の健全育成
⑧ 客のカジノ施設利用による悪影響の防止
について必要な措置を講ずることとされています(10条)。
カジノ施設で行われるのは賭博行為に他なりませんから、そこで行われるゲームは公正でなければならず、イカサマは徹底的に排除されてなければなりませんし、反社会的勢力の排除や犯罪の予防、周辺の風俗環境への配慮は当然のことですが、特に、政府に客のカジノ施設利用による悪影響を防止する措置を講ずることを義務づける点は注目に値します。これは要するに、賭博で全財産をスッてしまったり、借金を重ねてしまうような経済的破綻やのめり込み(依存)という弊害を防止する対策を講じろということです。
このような方向性は、公営ギャンブルやパチンコの所轄官庁において大いに参考にすべきでしょう。
第2節の「カジノ管理委員会の基本的な性格及び任務」では、内閣府の外局として「カジノ監理委員会」を設置し、規制に当たるとされております(11条)。
この委員会には、カジノ施設の健全性を確保する規制にあたるべく、警察庁始め、各省庁から精鋭が集められることでしょう。
第3節の「納付金等」は、国及び地方公共団体は、カジノ施設を設置・運営する民間業者から納付金を徴収できること(12条)、及び、入場者からも入場料を徴収できること(13条)を定めています。
IRにカジノ施設が存する事が、「財政の改善に資する」所以です。

第3章の「特定複合観光施設区域整備推進本部」では、IR区域の整備の推進を「総合的かつ集中的に行うため」、内閣に、見出しとなっている「特定複合観光施設区域整備推進本部」(本部)を置くこと(14条)、及び、その組織や権能の概要を定めています(15条~20条)。また、本部には、「特定複合観光施設区域整備推進会議」(推進会議」)という諮問機関を置くこと等も定められています(21条~22条)。

以上がIR推進法の概要ですが、基本的事項やスケジュールが定められているだけであり、具体的な内容についてはほとんど触れられていません。この点については、特定複合観光施設区域のIR推進法案の国会提出に先立つ平成25年11月12日に開催されたIR議連の第21回総会において「特定複合観光施設区域整備法案(仮称)~IR実施法案~に関する基本的な考え方(案)」が示されており、この「考え方」の内容を探る必要があります。

投稿者: 三堀法律事務所

2014.01.20更新

 去る平成25年12月5日、国会に提出された「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(IR推進法案)は、カジノを含む不可欠の要素とする統合型リゾート施設(IR施設)の設置が許される区域の整備の基本方針とスケジュール等を定めるに留まります。
 ですから、IR施設や同区域整備の具体的な「中身」は、「特定複合観光施設区域整備法」(IR実施法)の成立を待たねばなりません。
 ところで、IR推進法案の国会提出に先立つ平成25年11月12日に開催されたIR議連の第21回総会において「特定複合観光施設区域整備法案(仮称)~IR実施法案~に関する基本的な考え方(案)」が示されており、この「考え方」の内容から、IR実施法の法案の概要を窺い知ることができます。
 どのような地域がIR施設区域に指定され、カジノが設置されるのかということは大いに関心を引くところなのですが、しかし、立地については、IR推進法で、各自治体からのIR施設区域の認定申請を受けて、国がこれを認定するというシステムを定めているため、「IR実施法に関する基本的な考え方」でも、具体的な言及はありません。
 マスコミ報道では、IRすなわちカジノ施設が設置される候補地として、東京都(港区お台場・江東区青海等の臨海部)、大阪府(大阪市の夢洲)及び沖縄県(宮城島等)が取り沙汰されており、つい先日、神奈川県横浜市がカジノの候補地として名乗りを上げ他との報道もありました。
 この点に関連して「IR実施法案に関する基本的な考え方」では、「カジノを含むIRは、全国津々浦々に設置すべき施設ではない。わが国におけるその施設総数・設置区域を明確に限定し、かつ、その着実な施行を確認して、段階的に設置することを基本とする...」としております。
 カジノの「着実な施行」があれば、他の多くの自治体からIR区域の指定申請がなされ、「段階的に」増えて行くことが予想されております。一部の専門家の間では、先に挙げた東京、大阪そして沖縄を始め、最終的には合計20か所ほどのIRすなわちカジノが設置されるといわれており、全国的に身近な場所にできるのではないか、と考えられます。

投稿者: 三堀法律事務所

2014.01.17更新

去る平成25年12月5日、国会に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」が提出されました。 この法案は、英語のIntegrated Resort(「統合型リゾート」)の略から、IR推進法案とも呼ばれています。
この法案は、「特定複合観光施設」を「カジノ施設(略)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示場施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするもの」と定義づけ(同法案2条1項)、また、「特定複合観光施設区域」を「特定複合観光施設を設置できる区域として、別に法律で定めるところにより地方公共団体の申請に基づき国の認定を受けた施設」と定義付け(同法案2条2項)、「観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資する」特定複合観光施設区域の整備の基本理念及び基本方針を定め、「特定複合関東施設区域整備推進本部」を設置して、これを総合的かつ集中的に行うことを目的とするものです(同法案1条)。
要するに、IR推進法案とは、カジノを不可欠の要素とする統合型リゾート施設を設置することができる区域の整備の基本方針とスケジュール等を定めものです。
ですから、IR施設や同区域整備の具体的な「中身」は、「特定複合観光施設区域整備法」すなわちIR実施法の成立を待たねばなりませんが、しかしIR推進法案は施行後1年以内を目途として「特定複合観光施設区域の整備の推進」に「必要となる法制上の措置」を講じることとしており(同法案5条)、次年度中にはIR実施法も制定され、そして、日本最初のカジノは、次の東京オリンピックが開催される(平成32(2020)年)ころには、開業していることでしょう。

投稿者: 三堀法律事務所